「かじや村便り」       平成21年 2009年10月


 9月24日から稲刈りを始めました。田植えの早かったコシヒカリが、この周辺に7反歩あります。

7月が例年より低温気味だったせいもあり、どの田の稲も月末になっても葉色が褪めず、散々思案をして迷った挙げ句少し遅らせて、例年より少し少なめに穂肥を入れました。1週間ほどすれば普通なら、二度目の穂肥を入れるのですが、これも見送り。

 穂肥の量から言えば例年の半分も入って無い事になりますが、梅雨明け宣言が8月になって出た程で、猛暑と雨で条件は最悪。稲が登熟する過程でイモチ病が発生する心配もあり、倒伏の危険性もあって結局充分な施肥は出来ませんでした。

 周辺の農家の様に5月の連休の頃に田植えをすると、穂肥は約70日経過して7月初め。稲株も充分に出来上がっていて葉色も褪め、稲は穂肥が入るのを待っている様な状態になっています。所が我が家の様に田植えを遅らせると、穂肥を入れるまで50日ほどしかなく、稲の状態から言えばまだ生長盛り。その大事な時期の施肥を見送ると言うのは、穂だけでなく稲株の生長にも影響します。

 今年のコシヒカリは、穂肥を入れたこれらの田は例年以上の豊作でした。しかし田植えが遅かった田には全く穂肥が入れられませんでしたので、株の出来は悪く稲丈も低くて穂が小さく、肥料商の私が言うのも可笑しいのでしょうが、穂肥の効果を再認識したほど収量はありませんでした。籾の嵩から言えば恐らく、例年の6割位でしょうか。

 滋賀羽二重糯はコシヒカリよりもまだ長くて倒伏には極めて弱いので、こちらも穂肥は入っていません。それでも刈り取る時には部分的に少しなびいていましたので、10月初めに東海地方に上陸した台風18号を考えると、もしも無理して穂肥をやっていれば、コシヒカリ共々確実に倒伏していた事と思われます。各地に相当な被害をもたらした事を考えても、負け惜しみの様ですが今年はこれで良かったのかなと考えています。

 昨年ほどは出来の良くなかった7月植えのコシヒカリですが、超遅植えだから悪かったのでは無く、やり方を間違えなければ充分に良い米が収穫出来る事は分かりました。とはいえ、本来の梅雨の時期である6月中旬〜7月中旬に雨が降らず、7月末から8月初めに降り続いたり、例年なら9月中旬〜下旬に停滞する秋雨前線が半月遅れて出現する様では、今年の二の舞も有るかも知れませんが、それなりの対策も胸の中には既に有ります。異常気象をもたらしているエルニーニョ現象も終息する様ですので、来年は平年並の気候に戻って、気持ちよく収穫の秋が迎えられることを期待しています。

 10月4日は、旧暦で言えば中秋の名月でした。非常に綺麗な満月でしたが、写真に撮るとこんなに小さくてガッカリですね。稲穂の上に登る満月をもう少しアップにして撮りたかったのですが、この田も穂肥の入ってないコシヒカリ。稲の出来も良くなくて稲穂も疎らな感じがするのに、我が家から見ると東の方角には集落があって、思ったような構図にはならず、ちょっと無理な注文だったようで残念でした。もう少し早く気がつけば、条件の良い所へ行ってカメラを構えていたのですが。

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