平成12年 2000年 6月
 春先の天候不順で苗の生育が悪く、5月末までに田植えが出来るかどうか心配しましたが、代掻き用のドライブハロウーを大型に買い替え、例年なら絶対にしない雨の中の田植えまでして、どうやら植えるだけは植えてハワイに行って来ました。
 行ったのはビッグアイランドと呼ばれているハワイ島。年間を通じて平均した気候で、昼は24〜5度。島の真ん中に4000mを越える火山が2つも在り、西側のコナ地区は夜にシャワー程度の雨が降るだけ。東側のヒロ地区は日系人も多く、年間降水量も日本並。我々の講習した研修生たちの多くはこの地区に配属され、元気に働いていました。農場の様子も環境も千差万別。3人の女子研修生は日系人の経営する農場で、観苦竹に水をやるだけの単調な仕事。自炊生活で町に近く、自分達で車を運転して買い物に出掛けていました。
  島の東側にある洋ラン農場では、リゾート地の別荘地帯に住居があり、白人の家に同居してハワイの人に囲まれての仕事。三重の赤塚さんが経営される洋ラン農場の2人は、山の中の一軒家で自炊生活をする、沖縄出身の男子。車が自由に使えないため農場主に連れ出してもらわない限り、どこへも出られない状況でした。ハワイの農業を支えていたサトウキビは、精糖工場が閉鎖される程の壊滅状態。代って進出していたパパイヤも、アブラムシが媒介するバイラスに侵され、ハワイ中のパパイヤの木を、庭先にあるものまで全て切り倒してしまれないと、病気の進行を止める手立ては無いといわれています。
  マカデミアナッツは有名ですが、世界的に見れば東南アジアなどの新興産地に押され、輸入したナッツを加工する方がコストが安い状況。農産物を自由化する事は、農業に大きな状況の変化をもたらします。田舎から人はいなくなり農地は荒廃。日本だけではなくどこの国であれ、生活費のかからない開発途上国か
らの農産物と、まともにコストの競争をしても勝ち目はありません。
 ハワイでの5日間。申し訳ないけど食べ物で美味しいと思った事はありませんでした。現地の人に何度か食事に招待された時も、出てくる料理は量の多さに呆れただけ。果物には期待していましたがそれも大した事はなく、E本では毎日、いかに美味しいものを食べているかと言う事を、改めて再認識しました。
 8日に帰って来ると、植えっぱなしで出掛けた田の隅は、今年米寿の母親が手植えで植えて回って、全部の田を丁度植え終った所でした。感謝、感謝。

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