平成12年 2000年 8月
  土地改良区でダムや水路を管理している知人は、梅雨の雨が無かった分だけ平成6年の猛暑の時より、今年の方が状況は悪いと言っていましたが、琵琶湖の水位もどんどん下がり始めました。しばらくは雨が期待できないので、もしかして秋から冬にかけて最悪の事態を迎えるかも知れません。稲の刈り取りを考えると、台風は来て欲しくはないのですが、せめて夕立でも降ってくれないかと待っています。
  予想通り、連休前に田植えをした早生の収穫が始まりました。暑さが止まると言われる処暑を過ぎても、連日35度を超える猛暑の中で、コンバインのエンジンの排気熱を浴びながらの収穫作業は、考えただけでも大変です。出穂時期に台風の被害を受けなかったために、稲穂が風に揉まれることが無かったせいで、色合いは非常に綺麗です。カメムシの被害が酷いとの予報も有りましたが、品質は悪くない様です。ただ、余りにも暑い最中に稔った稲の味は、決して良いとは言えないと考えています。一般に少し肌寒い位の時期に、長袖を着て収穫する米が一番旨いと言うのですが。我が家のコシヒカリは昨年同様、9月20日過ぎから0月初めになるでしょう。糯米の滋賀羽二重は25日頃の出穂になりますので、10月中旬の収穫。酒米の山田錦はその後になります。
  8月4日、例年の様に徳島県の阿波町へ山田錦を見に行って来ました。倒れやすいコシヒカリより滋賀羽二重は10〜15cm長く、山田錦はまだ更に長いのです。阿波町の農協職員も12〜3年前に作り始めた頃は、どうしたら倒さずに山田錦を作るか、兎に角大変だったと言います。しかも収穫は台風シーズンが終わる頃まで待たなければならず、それでいて収量はコシヒカリより3割くらい少ないのです。
  阿波町で130ha有るという山田錦は見事に同じ様な出来具合で、農協の指導が徹底している事がよく分かりました。しかしながら、倒伏を避けるために肥料を控え、かなり無理をしているようで気がかりでした。我が方の吉田酒造にも、この徳島県阿波町の山田錦が入ってきていますが、兵庫県産と比べると米が硬いと聞いています。我々の作る山田錦も少し硬いと言われていますので、今年は肥料設計を変えて見ました。倒伏を避けながら、如何にして酒造りに適した米を作るかが私の課題。酒造りの現場と意見を交わしながらの試行錯誤が続きます。山田錦は非常に敏感な品種だけにやりがいも有るのですが。
  初めて作った「まなむすめ」も順調に生育しています。今年は生育方法が少し変わったせいか、全体ににやや穂が小さい様な気がしています。農薬を使わないで頑張っているためもあって、多少は気になる事も有るのですが、安心して食べて貰える米を作るのに何処まで我慢できるか、9月にウンカなどの被害が出ないことを祈っています。

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