平成13年 2001年 12月
 月の初めに北海道が大雪との便りがあり、長野も例年になく積雪が多いと、岩岳スキー場から電話が入りました。いつもなら1、2度位は降雪が有って、いよいよ来たかと覚悟を決めるのですが、今年は山が2回程、それもほんの少し白くなっただけ。暖冬が猛暑と一体になって、地球温暖化が毎年進行している様です。
 今年の稲作は、まさにこの温暖化との知恵比べでした。地区の区長に選ばれて忙しかったからと、表向きには言っておりましたが、実は最初から狙ってわざと種籾を蒔くのを連休明けまで遅らせました。それでも田植えは6月11日には終了。私の地区の大半が5月の連休前後に植え終わるのと比較すると、1ケ月遅れになります。酷暑の夏に稲が穂を出し、お風呂のお湯の様に温い水の中で、根が傷んで体力を消耗して登熟に悪影響を及ぼすのを、何としても避けたかったのです。3度の台風も直撃を免れ、極めて順調に生育して無事収穫を完了しました。今年初めて作った「コシイブキ」も、「越後の国の息吹」を感じるような、非常に稲穂の美しい品種でした。
  昨年に続いて滋賀県肥料商業組合が、米の食味検討会をすると言うので、今年作った3品種を出品しました。先日その結果が届きましたが、ケットの食味計と東洋の味度計の2種類の分析機械を使い、滋賀県立大学でそれぞれ3回ずつ測定し平均値を出しています。食味検討会の趣旨は、どうすれば美味しいお米を作る事が出来るか肥料商の立場から考える為のもので、誰の作った米が一番旨いかという品評会をしている訳では有りません。しかしながら米の味が点数で表示され、結果が歴然と分かるので気にはなります。
 2種類の食味計の点数を平均し比較すると、我が家の「コシイブキ」が79.5点で1位、「コシヒカリ」が75.5点で4位、「まなむすめ」は74.5点で9位でした。この点数は、新潟県魚沼産の「コシヒカリ」を最高に旨いとし、それにどれだけ近いかによって点数が付けられる様な所が有り、必ずしも唯一の評価基準では有りません。とりわけ「まなむすめ」の様に、元々米に粘り気が少ない品種の点数は、どうしても低くなります。粘り気の強い米に人気が有りますが、米の粘り気と美味しさは必ずしも関連しません。「まなむすめ」の持つ独特の甘さも、捨てがたい味だと思っています。今年の出品点数は昨年より少なかったものの、この成績にはある程度満足しています。特に「コシイブキ」の点数が良かった事で、来年の作付けを考えるいい材料になりました。来年は同じ品種で肥料設計を変えて作って出品しようと、今から作戦を練っています。
  12月1、2日。昨年同様、学生時代のバスケットボール部OB会のメンバーで、一泊旅行をしました。やはりマイクロバスをレンタルし、2日間で600km余りを運転。気の合った昔の仲間との、本当に楽しい旅行でした。豊川で東京からの2人と合流。鳳来寺山へ行き泊まりは浜名湖の舘山寺温泉。屈指のホテル「九重」の玄関に皆を降ろし、駐車場へ回ると係りの女の子が、「龍箪寺へお迎えに行って頂くことになっていましたが、キャンセルになりました」と、妙な事を言いに来ました。聞いて無かったし変だなと思いながら、大型バスがずらりと並び、1台分だけ空いていた所にたむろする、プロの運転手達の視線を感じながらバック。みっともない入れ方は出来ないので慎重に、しかし一発でプロ並みにピッタリと駐車。「どうだ!」とばかりにマイクロバスから降りるとさっきの係りの女性が来て「お泊まりはどちらですか?」どうやら客ではなく、バスの運転手と見られていた様で、私の運転の腕前もホテル側の取扱も、全くプロ並みでした。

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