コシヒカリ便り                 平成14年5月

  3月4月が暖かく推移して、田植えを遅らせるように指示が出ていたのに、回りの田植え具合は例年と大差の無い進行状況でした。一つは連休を利用せざるを得ない兼業農家が圧倒的に多いこと。もう一つは、いつもと違った方法をとる事に対する不安でしょうか。
 更には米の品質に対して、無神経な農家が多いことも原因に上げられます。特に兼業農家で農協に出荷してしまえばお終いという農家は、全く無頓着です。仕事が何とか終わればそれで良いのでしょう。やがて世代が代われば、それさえも危うい状況ですが。
  5月4日は「田中祭」でした。今年は我が南市が渡し番で、若い者で馬に乗る者が居ず、左千夫は前回の3年前に引き続いて、3度目の役馬に乗りました。天候が危ぶまれましたが、お祭りが9割方終わった所で雨が降り出し、何とか無事やり終えました。私も区長は3月で終わっていて責任は無いのですが、結局お祭りの行列と一緒に参拝。今年の祭りの指揮を執る区長代理の熊谷君に、あれこれ指示をしながら歩いていて、久し振りに帰ってきた佐紀子夫婦に「お父さんは、一体何の役が当たっているの?」と問われる始末。役の付いて居る者は、紋付き羽織袴姿が本来で、私服で指示を出すのはおかしいのですが。昔通りの祭りをやらねば気が済まない者が、役目でも無いのに酔っぱらって口を挟んで来るので、私の様な黒幕が必要に成ってくるのです。
  連休が終わると殆どの田は植わってしまいましたが、それでも専業農家を中心に、例年よりも田植えを遅らせた者も何人か見かけます。頼まれて9日に、例年通り近所の田を3反、今年の試運転を兼ねて植えました。専門の業者から買って来た苗なのに、育苗時期の高温で細く柔らかくしかも徒長していて、昼には終わるハズの面積を夕方4時まで掛かって、何度も何度も田植機を調整しながら、ようやく植え終わりましたました。それでも植え損なった所が多く、地主さんには申し訳無い様な仕事っぷりでした。
  18日には酒米の山田錦を9反、醸造元の吉田君・地主の吉原さんと植えました。左千夫と組んでその内の6反を私が植えたのですが、9時過ぎにに植えだして1時半には終わっていました。こちらの苗は私らが作った物で、本当はもう少し日数を置きたかったのですが、まずまずでした。10月末に刈り取りをし、来年の3月末には大吟醸酒「花嵐」になります。昨年までは4反半だったので、年内に売れ切れてしまっていました。評判が良いのは嬉しい事です。 雪印食品に始まってニセ表示食品が次々と出てきました。中国からの野菜や肉まんに使用禁止薬品が使われていたり、何を信用したらいいのか分からなくなります。食料を生産する立場から見れば、生産している者自身が安心して食べられるかどうかでしょう。
  我が家で見ていても野菜は、農薬を使わず高品質の品物を作るのは、非常に難しい様です。土造りに手間と経費を惜しまず良質の堆肥を入れて、風と太陽の恵みを充分に受けるようにして育てると、米は農薬のお世話に成らずに稔ってくれます。余程の天候不順でも有れば病気が出ないとも限りませんが。ただ、無農薬はともかくとして、肥料屋をしているから言うのではなく、化学肥料は全て悪い物で有るかの様な風潮だけは、心外です。ともあれ良質の有機質肥料を使って、今年も「とにかく旨い米」を作りたいと思って居ます。

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