「コシヒカリ便り」
             平成15年3月 

  3月初旬、スキーの国体から帰ると引き続いて、米国に1年間の農業研修に出掛ける若者を見送り、同じく昨年送り出した研修生を出迎える為に東京へ。11月に和歌山で渡航前講習をした研修生のうちの約半数が、成田空港から出発しました。旅行でしばらく出掛けるのと違い、研修生は農場で働くのが前提なので、持参する荷物にも気を遣っている様で、どうしても30sの制限を越えてしまい勝ちです。一昔前程はやかましく言いませんが、もしもこの重量制限を越えると、1s当たり5,000円を徴収されるとか。私が渡航した30数年前には、荷物の持ち込み制限は20sでした。それでも2年間の生活に大して不便は感じなかったのですが。

  講習では、せっかくアメリカに行くのだから、1年経って帰る頃にまだ、日本製の歯磨きを使っているなんて事の無いようにと話すのですが。アフリカの奥地に行くのじゃ無いからとも言いますが、実際に私の場合も、イタリアに行くのに持参して全く使わなくて、残った物を全部ドイツ支部の花沢君に渡して帰った位ですから。行ってみて帰る頃にようやく、こんな物を持ってきていれば良かったのになあとか、逆に日本に帰ってきて初めて、アメリカであんな物を土産に買ってきたら良かったのかと、分ったりします。

  講習で幾ら説明しても現地で苦労してみないと、語学力の大切さも理解できないようです。そして気が付く頃には農場で仕事に追われていて、とても勉強どころではないというのが実情。先の苦労は目に見えているのに、勉強の進まないのに業を煮やして?やらない若者が増えています。
  3月7〜13日に行った農業研修生の第2次講習では、根岸資郎君が外国人講師を2人手配し、講習に案内してきてくれました。彼は私の10年後輩の研修生。今は農業資材の輸出入関係の仕事をしていて、年に半年以上は外国に居ると言います。何しろ全日空(ANA)の利用客中、日本人ではマイレージを一番貯めるというほど。それだけに語学の必要性を身にしみて知っている訳でしょう。しかしながら肝心の受講生には、殆ど危機感は感じられませんでした。3月初めに渡米した1年制の研修生からも、この6月に渡米予定の研修生達に、必死になって勉強してから、アメリカに来て欲しいとメールも届いているのですが。

  各地の積雪はそれ程少ないとは思えないので、地球温暖化の影響ばかりとは思えませんが、私の地方では例年になく雪が積もりませんでした。7年ほど経っていて老朽化したハウスのシートが、年末に降った雪の重みで裂けてしまい、急いで新しいシートを手配しましたが、届いたのはイタリアに出発する直前。心配しながら結局一冬何とか無事に越せました。例年の積雪なら青くなって雪を除け、寒さに震えながら張り替えをしなければならなかったと思われます。

  中旬には富山県庄川町の「となみ野農協・稲種センター」から、今年の稲作用の種籾が届きました。毎年新しい種を使う人も多く、「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「どんとこい」「キヌヒカリ」などの籾種を、得意先農家の分と一緒に送って貰っています。

  連休の田植えをどうしても止められ無かった兼業農家の中にも、仕事を遅らせて見ようという動きが出始めました。滋賀県は県の中央部にある琵琶湖のせいで、夏の夜温が下がりにくく米の品質低下を招いています。連休に植えた稲を刈り取るのは8月下旬。熱中症でひっくり返らないためにも、これは賢い選択でしょう。
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