コシヒカリ便り                  平成15年4月

 昨年の秋は天候不順で、10月一杯くらいに田を起こした農家はともかく、私の様に少し手遅れした者には、チャンスは巡って来ませんでした。無理矢理に起こせば出来ないことも無いのですが、良く乾いた状態の時に耕土培養資材を撒いて、丁寧に起こしておきたいのです。

 雨上がりの湿った状態の田を起こすと、土をこね回してしまうことになり、我が家の年寄りはこれを何年も応えると言って酷く嫌います。今はトラクターで起こしますので、仕事自体は難しく有りません。土が乾いていようと濡れていようとお構いなし。仕事は幾らでもはかどるのですが、この様にこね回した土では、作物の生育が悪いと経験的に知っているのです。先日珍しく好天が続いた時に佐千夫が、鶏糞に微生物を培養した「タキアーゼS」と燐酸とケイカルを混合した「リンゴールデン」を散布し、私がその後を起こしたのですが、その後ずーと雨にたたられているので、今年90歳になった母は酷く降る雨の日には決まって、天気の良い間に鋤けて良かったと、繰り返して何度も言います。

 10日、得意先農家の清水君の好意で、種籾の消毒を温湯でしました。60℃の湯に5分間漬けると聞いていましたが、最近の試験では10〜15分間と言うデータも有ります。清水君は昨年8分間で旨く行ったと言うので、私も習って同じく8分間を採用しました。以前、風呂の湯を60℃にして試そうと思った事が有りますが、風呂桶全体が熱くなって怖くなり、途中で断念した経過もあります。何事も新しい事をするのには、かなりな勇気が要るのです。

 16日、北の方へ配達に出たついでに足を延ばし、郡内きっての桜の名所、「海津大崎」まで行ってきました。土・日は人出が多く、とても車で走れる状態では無いと聞いていますので、少し早めに行ったのですがそれでも多く、満開の桜を眺めようとしても車を止めるのに一苦労。何年ぶりかで行ったのですが、相変わらず見事でした。湖岸に垂れ下がる様に咲いていて、船に乗って琵琶湖の上から眺めるのが最高の様です。以前は600本と言っておりましたが、湖北の方までずーと植わっていて、まだ若い桜も入れると相当な本数になると思われます。

 21日には山田錦を播種し苗代に設置しました。地主の吉原さんの家で作業をするのですが、吉田酒造専務の肇君と佐千夫の4人体制。午前中に270枚の苗箱に種籾を撒き、午後には田におろしたのですが、天気予報が大はずれで風雨が強く、最後は土砂降りの中で仕事をして下着まで雨が染み通りました。山田錦は今年で8年目になりますが、全て大吟醸「花嵐」になります。幸い大好評で年内に売り切れてしまうことが多く、昨年は倍増して9反分に作付けしましたが、今年は更に増やして1町2反になります。

 私が一緒に米を作っていることを知っている知人は、指定して注文して下さる方もおられるようで、吉田酒造の奥さんも笑いながら喜んでお話になっていました。私もお遣い物にしたりお土産に持って行ったりしていますが、いずれも好評を頂いております。米もそうですが、消費者の方の反応が直ぐに返ってくるからこそ、頑張っていい物を作ろうと熱が入るわけで、有り難いことだと思っております。

 例年この時期はそうなのですが、鼻風邪がしつこくてなかなか治らず、花粉症では無いことを願って、風邪薬を飲んでます。しかし聞くところに依ると、風邪薬も花粉症に効果が有るのだそうで、もしかすると花粉症なのかも知れません。
冬の間スキーはしますが、どうしても運動不足。一気に仕事に入って疲れが溜まるのでしょうね。
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