コシヒカリ便り             平成15年6月

 29日に山田錦を植えましたが、予定通りNHKの取材が有りました。9時からと言うのでトラックに田植機を乗せ、佐千夫と2人で出掛けました。NHKからのスタッフは若者が3人。しかも打ち合わせに来ていた金谷さんという地元マキノ町出身のキャスターが、カメラマンと相談しながら全部自分でこなしてゆき、アナウンサーも兼ねて出演するというのには、少々驚きました。放送は6月5日に有りましたが、わずか3分間。当然ながら主体は酒造りなので、吉田酒造の取材が大半。田植え風景に加えて、私たち3人が雑談中を取材するという設定で、私の発言も何十秒間かテレビに出ました。しかし見ていた人の反応はさすがにNHK。「テレビに出ていたなあ、見たで」と言う人も多く、驚いた人も多かったようです。

 実はこの5日の朝日新聞の滋賀版に、我が家がスケッチされて載りました。古い家にホーローの肥料の看板がよく似合っていて、というコメント付きでしたが、これも予期しなかった事で驚きでした。当日の新聞のコピーを同封しておきます。

 田植えまでに、農機具を入れているシートハウスを直しておかないと、隣接する田圃を植えてしまうと稲刈りが済むまで張り替えが出来ないので、天気の良い日がしばらく続くのを見計らって修理・張り替えをしたり、堆肥や耕土培養資材を撒いて田を起こしたりして、ようやく13日に代掻きを始めました。この頃になると、大きな農家でも殆ど田植えを終わって来ていて、事情を知らない人は怪訝な顔をして通り過ぎます。昨年の例で行けば、私の稲刈りは9月25日頃から始まりますが、そこから逆算して稲を植える人は少ないのです。秋の天候が定まるのはこの頃。これより早いと例年秋雨前線が停滞し、台風も来て稲刈りには不適当なのですが。

 翌14日は午後から「小谷会長感謝の会」として、スキー連盟・バイアスロン連合の会長としてお世話になった、小谷隆一氏を囲む感謝の会が京都であり、ともかく1反だけでもと「ひとめぼれ」を植えました。15日は「コシヒカリ」と「滋賀羽二重糯」を植え、17日夕方から上京。18日は国際農業者交流協会の総会に出席。監事として監査報告をし直ぐに帰って来て、23日まで掛かってようやく田植えを終了しました。

  1人で田植えをしていると、隅の高い土を引っ張ったりして、いい加減疲れて毎日ぐったりしますが、左千夫がこの辺の力仕事をこなしてくれて大助かりでした。田植えが終わると今度は24/25と、アメリカへ2年間の農業研修に出発する研修生を見送りに、東京オリンピックセンターから成田へ行き、帰ってくると肥料の配達がたまっていて、とりわけ雨の日が多く台風まで来て、なかなか籾摺りが出来ませんでした。そのせいでお送りするのが遅くなってしまって、申し訳有りません。

 梅雨に入って本当によく降ります。稲が軟弱に育っていて、イモチ病が出そうな天候が続いていて、ちょっと心配な年です。夏は暑いという長期予報ですので、私のように遅く田植えをした者にとっては作戦成功という所ですが、収穫が終わるまで油断は出来ません。
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