平成15年8月
 低温と日照不足で東北から北海道方面の稲は、秋田の後輩の言い方では悲惨な状況の様です。関西でも8月中旬まで梅雨の様な雨天曇天が続き、おまけに8日には台風10号まで襲来。春先から何度も本土を直撃する台風に、農作物は翻弄されています。連休の頃に田植えをしたコシヒカリ・キヌヒカリは、出穂直後にこの台風の大風に揉まれ、出たばかりの稲穂の柔肌はお互いの籾殻でこすり合わされて、まるでヤスリをかけ合った様な状態。低温と日照不足で軟らかく育っていた稲に、増え始めていたイモチ病が一気に広がってしまいました。皆必死になって消毒をしていますがその勢いは止まらず、出揃った稲穂に実の入ってない白穂が目立ちます。

 台風が何とか通過したので9〜10日、1泊2日で予定通り大峰山に参拝してきました。仮に天気は回復しても大風と大雨で山道は荒れていて、難儀なお参りになろうと覚悟を決めていましたが、幸運としか言いようの無い好天に恵まれ、無事お山を済ませました。大雨に洗われて木々の緑は殊の外美しく、草刈りで腰を痛めて少々辛かったのですが、そんなことさえも忘れてしまうほどでした。例年通り帰り道は、ビールを飲みたい甥っこ達に代わって車を運転。父は熱心な大峰山(行者さん)の信者でしたが、還暦を過ぎてはお山には登らなかった様に記憶していますので、少しだけ私の方が元気かなと思っております。 

 15日になっても朝方まで梅雨模様の雨は止まず、遅い目にお墓参り。18日の「南市夏祭り」にもまた、途中から降り出した雨がかなり酷くなり、20日からようやく夏空が戻って来ましたが、もはや秋の気配。梅雨明け宣言のなされなかった平成5年の、稲作大凶作を思い出しています。

 21日からようやく1ヶ月ぶりに草刈りを再開。日照不足は雑草の生育にも影響し、幸いなことに草丈は余り伸びていませんでした。この時点で「コシヒカリ」が出穂を始めており、「ヒトメボレ」が少し走り穂を覗かせた状態。「コシヒカリ」「キヌヒカリ」の田植を5月中〜下旬にという滋賀県の方針がありましたが、その方針に沿って田植を遅らせた稲は、次々に雨の中に出穂し花を咲かせました。私としても盆踊りの頃まで、1ヶ月も梅雨明けが遅れると思っていた訳では有りませんが、結果的に晴天に恵まれて「コシヒカリ」が出穂したのは、おそらく私の田だけだった事を考えると、6月中旬の超遅植は正解だったのかも知れません。

 「9月が今年は真夏になる」。そんな見出しの週刊誌の記事を見掛けました。平成6年の猛暑は「ダイポール現象」と呼ばれていましたが、空梅雨で夕立もなく本当にカラカラ天気が続きました。当時まだ町の消防団長をしていましたので、消火活動に走り回った記憶もあります。その時と同じ現象が秋に日本を襲うと言うのが内容でした。この夏異常に暑かったヨーロッパは、この現象に依るものなんだそうです。

 もしこの記事の様に、9月猛暑という事にでもなれば、私の超遅植「コシヒカリ」はそれこそ大正解。先見の明が有ったわけでも何でも無いのですが、地球温暖化を見越しての対応を突き詰めて行った結果が、こういう形で報われる事になりました。順調に出穂を始めた稲穂を見守っております。なお、申し訳有りませんが手持ちの米が底をつきました。新米の収穫できる中旬までお待ち願えませんでしょうか。出来るだけ早くお送り致しますので、宜しくお願いいたします。
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