平成18年5月
 新緑の候…と書き出すのが定番ですが、今年は連休明けから天候不順が続き、低温と日照不足で野菜も稲も生育は極端に遅れています。

 幸いなことに3/4/5日の田中祭は、昨年に引き続いて素晴らしい好天に恵まれ無事に終了しました。私は南市区の氏子総代で参列し、佐千夫は南市区の当番で太鼓を担ぐ役目を仰せつかって、汗を流しました。

 子供達も皆帰ってきて、久しぶりに家族揃ってのお祭りでした。孫の裕大はもうすぐ2才。春休みに帰ってきた時からわずか1月しか経たないのに、赤ん坊から子供へと変化成長しているのが目に見えて分かって、ちょっとした驚きでした。我が子の時の記憶は遙かな彼方です。

 1日、コシヒカリから播種を始めたのですが、周りの農家は田植えの真っ最中。肥料や除草剤の配達もあってなかなか苗代に掛かりっ切りとはいかず、お祭りが終わってようやく6日から、少し芽も根も出始めた苗箱を、苗代に置き始めました。

 今年は例年とは少しやり方を変え、トラクターで4回も細土し、大工さんの使うレーザー光線のレベルをホームセンターで買ってきて、苗床を水平に均し時間を掛けて整備したお陰で、一枚の失敗もなく上手い具合に苗が成長しています。

 2岸ごとに畦を作ったのも大成功。半月掛かって1,000枚の苗箱を順に置いていくのですが、1岸の苗床に150枚並べている苗の成長具合がそれぞれ違うので、全部が同じ平面だと水の管理が大変なのです。今年うんと楽になったのに味をしめ、来年は1岸ごとに畦で区切ってやろうかと思っています。

 今年は3町5反あまりの田に作付けします。「コシヒカリ」などのウルチ米が殆どですが、昨年8畝ほどの田で試作して5俵収穫し、艶があって綺麗だったと言われた酒米の「山田錦」も、6反歩植えます。

 山田錦の平均反収は6俵余りですが、順調にいけば36俵位の収穫になります。吉田酒造では、1度の酒造りに約30俵の米を使います。マキノ町で得意先農家と共同で作っている山田錦は、今年で11年目になりますが作付け面積も14反。非常に評判が良くて、お酒の瓶の後ろには、得意先農家と私の写真の付いたラベルが貼られています。

 来年4月には、私と息子が手塩に掛けて作った山田錦だけで造られる、大吟醸の「花嵐」が誕生する予定です。

 少子高齢化と言われて久しいのですが、私の周りの農家も段々と引退する方が増え、息子さんは既にどこかに勤めていて農業は継がないというケースが多く、田を作って欲しいと言う依頼が増えています。

 見渡せば、私の次の世代が家業として農業をしているのは、私の住んでいる南市では我が家だけ。今年も3戸の農地1町2反ほどが一気に増え、作付け面積は昨年の5割増しです。面積が増えたからと言って手が回らず、米の品質が落ちる様では何もなりませんので、何処の田にも同じように、微生物を培養した堆肥と耕土培養資材を散布しています。1反が2枚に分かれた田も4枚あって、地主さんの了解を得て中畦を取り払いました。代掻きに時間を掛け平らに均す様に頑張る予定です。

 6月初旬にはぼちぼち代掻きを始め、田植えが出来るかと思っていたのですが、天候不順で苗の生育が遅れ気味。この先の天気さえ順調なら5日頃には…と思っています。時間を見てトラクターや田植機の傷んだところを修理し、ちょっとワクワクしながら田植えの出来るのを待っている所です。田植えって、苗が順調に育ち代掻きが上手く出来たら、実に楽しい作業なんですよ。

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