平成7年 1995年 10月
  一昨年の長雨や昨年の猛暑と比べると、今年は夏が例年より暑かった位でま
あまあかなと思っていましたが、天候不順が植物に与えた影響は予想外に大きく、「彼岸花」が10月になっても満開にならず、稲の稔りも1週間から10日位も遅れました。例年なら10月初めには終了するコシヒカリの収穫も、ようやく半分といった所でした。肥料商との兼業農家のせいで、我が家では5月中旬〜下旬が田植えなのですが、ゴールテンウイークには田植えを終了する得意先の農家が、軒並みにかつてない位の豊作と言うのに、我が家は余り芳しくありません。やはり生育前半の6月の低温が応えたようです。もっともいかに旨い米を作るかという事に力を注いでいますので、もともと多収穫は期待出来ないのですが。実は収穫量を上げようという肥料のやり方をすると、味が落ちるという恐れがありますので、仕方がない面の有る事も事実です。
 秋には微生物を培養した完熟堆肥や、骨粉などの有機質肥料を施して浅めに耕耘。春には燐酸肥料を主体に少な目の肥料で、丈夫な苗を植え付けます。除草剤は使いますが、殺虫剤や殺菌剤などその他の農薬は使いません。肥料商ですがら我が家には、各種の農薬が売るほど積んでありますが、なにしろ農薬を撒いて一番臭くて嫌な思いをし、被害を受けるのは私ですがら。
 稲穂の出る20〜25日前には穂肥をやります。この時の肥料が米の味を左右しますので、肥料商として考えられる限り上質の物を使います。収穫後は普通火力乾燥をするのですが、風だけを送って自然乾燥をします。
 昨年の米を食味計で測ったところ、70点で旨い米、80点では非常に旨いというのが基準ですが、80点を越えました。あの作り方で80点を越えたのだから、こことあこと、ああしてこうして、今度は90点台を狙うぞ。それが米を作る上での楽しみですね。当たり前ですが食べる方はもつと楽しみです。
 8月23日、研修生事業30周年記念大会に出席のため、久し振りにアメリカへ行って来ました。2年間の研修を終えて帰国してがら、後輩の研修生の渡米前講習を26年間担当し、国際農業者交流協会の監事もしている関係で、研修生代表として挨拶をすることになりました。英語でのスピーチは初めてでしたが、アメリカで研修を受けたからこそ、今こうやって誇りをもって農業をしているんだと話したのが良かったのか、仲間の研修生はもちろんアメリカの農場主まで、とても感動したと喜んでくれました。 
  コピーで分かりにくいかと思いますが、スキー部の先輩で、オしコン州ポートランド領事館勤務の伊藤さんから届いた、現地の日系新聞「北米報知」の切抜きを同封しました。演壇上の左から2番日(アメリカ国旗左端の下方)、集合写真の左から3番目(立っています)が私です。   


  下の切り抜きは、信濃毎日新聞に書いておられる元駐米全権大使で外務事務次官であった、国際農業者交流協会の大河原良雄会長が、送って下さったものです。 

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