「コシヒカリ便り」     平成9年 1997年 7月
  梅雨末期の豪雨とは良く言われますが、今年の雨の降り方はいささか異常で、6月に1回でも台風が上陸する確率は10年に1度と言われるのに、2度も上陸した事と併せて考えると、どうも嫌な予感がします。ちなみに月に2度台風が上陸する確率は、計算上は100年に1度でしょうが、過去の前例がアテにならない時代とも言えそうです。
  我が家の周りだけで無く、あちこちで見聞きするので余計に不気味なのですが、今年の雨蛙の繁殖ぶりはそれこそ異常で、ほんの2〜3cmの小さな雨蛙が大量に発生し、2回の私の部屋にまで入って来ます。溝川にウジャウジャといるのを見て、カメラを取りに帰ろうかと思ったと言ったのは、徒歩で役場への行き帰りをしている隣町の義兄ですが、車で通れば見過ごしたかも知れません。
  花の咲き方も季節外れが多く、毎年背丈が伸び過ぎない様に切りつめるコスモスも、中には既に花を付けているのが有ります。
  田の畦に咲いているレンゲソウの除草剤がかかると、その株だけはほんの数日で種子を付けます。まるで親株が枯れるのを察知し、その前に子孫を残そうかとするかの様です。もちろん除草剤の掛からなかったレンゲソウは、今を盛りに咲き乱れているのに。
 
  6月の天候が良く、雨が少なくて気温が高かったため、稲の生育はかなり早くなって仕舞い、例年に比較して3〜4日位は穂の出るのが早まりそうです。その分、穂肥を施すタイミングが遅れた農家も有った様ですが。悪いことに丁度その迷っている頃に雨が続いて、気が付けば遅かったり、気付いていてもやれずにイライラしていたりで、天気相手の百姓生活は大変です。我が家は田植えの時期が遅いので、上手く長雨が収まってから穂肥をやり、得意先の農家にも今年は少し早いと話をし、大方は長雨の前に済ませて貰いましたが。
  気温22〜25度位で長雨が続くと、稲の大敵のイモチ病が蔓延します。今、丁度そんな気象条件です。栄養生長から生殖生長に切り替わり、出穂を控えて体力を使っている今、この病気が発生すると、出て来た穂にまで病気が広がり、実の入らない白い穂になります。長雨で稲の体が柔らかくなって、病気が出るのには条件が揃っていますので要注意です。
  こうなると、我が家のように最初から株間を広く取って、風通し良く作っているのが正解と言う事になります。微生物を培養した堆肥を入れてあるのも、骨粉をはじめとする燐酸質肥料を多く施用していることも、効果を上げてくれる事でしょう。


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