「コシヒカリ便り」      平成9年 1997年 8月
  気温は余り高くありませんが、晴と曇りや雨の天気が1週間単位で交互に来て、全体として見れば百姓仕事には、余り好都合とは言えない夏です。
  予想通り、稲にとっては一番の大敵であるイモチ病が蔓延し始めました。1ヶ月前からわかっていた事なのですが、結果が出て来る今頃になって、大変だと消毒に走り回る農家が多く、これでは残留農薬も多くなって仕舞います。
  稲の穂が出始めるのはコシヒカリなら、当地では7月末から8月初め。私の様に田植えが遅いと8月10日頃になります。出穂から10日もすると、普通なら段々と重くなった稲穂が頭を下げてくるのですが、イモチ病に罹った稲穂は中身が入って無くて、そのまま突っ立っています。勿論、白っぽい茶色の穂ですから遠目にも目立ってきます。白穂が出てきて初めてこれは大変だと走り回っても、もう手遅れ。今は結果が出てきただけの事で、この時期になって原因を取り除こうとしても、手立ては無いのですが。
  土造りにしても、10年20年と掛かります。土造りをおろそかにし、病気の出るような田になってから慌てても、取り返すのに10年20年と掛かるわけで、この辺は幾ら説明しても、米の値段が何年も据え置きになり、あげくの果てに最近の様に下がってくると、百姓をしている顔ぶれの高年齢化もあって、農家はやろうとしません。毎年頑張って土造りをしている農家と、そうでない農家とでは大きな差の出る年になりそうです。
  酒米の「山田錦」も順調に生長しています。昨年は少し肥料を控え目にしましたが、今年は普通に入れたので心配していました。しかしながら稲の節間も余り伸びていないので、8月4日に第1回目の穂肥を入れました。明くる日は吉田酒造の肇君の誘いがあって、徳島県の山田錦を見に行くツアーに参加し、土砂降りの雨の中、徳島県経済連の案内で山田錦の田を見て回りました。葉先10cmほどは風に揉まれて色が落ちていたものの、茎は節間が伸びていて下葉の色も濃く、これなら自分たちの山田錦の方が上かなと思いました。
  こうなると本場の山田錦も見てみたくなって、いっそのこと8月末か9月初めに、兵庫県の方まで行ってこようかと相談しています。
  「ひとめぼれ」と「コシヒカリ」は、9月20日過ぎから収穫作業に入れるかと思っています。乾燥・調整が済んで、お送りできるのは10月分からと言う事になります。幸いな事に極めて順調に育ってますので、ご期待下さい。


inserted by FC2 system