平成10年 1998年 6月
 5月12日にヒトメボレから田植えを始め、13日はマキノ町で吉田酒造の肇君や地主の吉原さん、京都の西村酒店の仲間ら10数人で山田錦を植えました。昨年同様の4.5反の作付けで、目標の30俵には少し足りないかも知れませんが、品質の良い酒米を作るのが第一の目標ですので。
  肇君の、地元マキノ町産の米で品質の高い酒を造りたいという希望と、酒店として米作りから酒造りまで関わって、自分達の好みを反映した酒を売りたいし飲みたいという西村君や、その仲間の和醸会のメンバーからの誘いに、私と吉原さんが乗った訳ですが、一昨年作った時には本当の手作りでした。
  倒れやすいコシヒカリよりも10〜15cmは長い滋賀羽二重糯より、更に10〜15cm位長くて倒れやすい山田錦を、倒さずに作る事に苦心したお陰で、米粒が硬くて醸造の途中で酵母が弱り醗酵が止まってしまって、いわゆる端麗辛口の酒にはなりませんでした。まるでワインでも飲んでいるような旨い酒だったのですが、肇君達の狙いとは少し違ったとかで、昨年は肥料設計を変更。幸い米の品質も良く、昨年付けた「雪花」と云うブランド名を徳島産の山田錦に譲り、格上の「花嵐」という新ブランドを創設。価格も少し上がりました。今年は更に上を目指します。目標は本場兵庫の山田錦ですから。
  今年は例年に無く早い梅雨入りでした。4月5月が平均気温で2.5℃も高かったせいで、苗は軟弱徒長。田植え後の生長も早かったのですが、田に鋤き込まれた稲ワラの分解が異常に早く、発生するガスで根が傷んで下葉が枯れ上がる田が多く見受けられます。秋の内に田を鋤いて、稲ワラを腐らせておくと防げるのですが。
  悪い事に降り続く雨に、稲の大敵イモチ病が出始めました。まだ6月も中旬で、梅雨はこれからが本番と云う事を考えると心配です。平成3年や5年のような不作にならないと良いのですが。
  我が家の田はようやく苗が活着し、次々に新しい葉が伸び始めたところです。植え付け前の窒素肥料は有機質で少し控えめにし、骨粉を主体に良質の燐酸質肥料ををたっぷり入れてありますので、例年通り色は浅くのびのびと育っています。
  苗の植え付けの間隔を広めにし、健全な育ち方をするように風通し良くしてあります。これだけの事で病気や虫の害をかなり防げるのですが、余りにも最初の1ヶ月くらいが淋しいので辛抱出来無いためか、誰も真似しようとはしません。
  長雨対策に苦土肥料を、雨の合間をみて施肥しようと思っています。稲の茎や葉が硬くなるほか、節間が短くなって倒れにくくなります。更に米に苦土が多く含まれると、粘りが強くなって旨味が強くなると云われています。
  エルニーニョ現象はどうやら終息したようですが、逆のラニーニャの傾向が見られるとか。厳冬と大雪の時代が来ると云うのですが、天候不順には違いないので振り回されてしまいます。今年は障害型の冷害で、北日本で特に大不作だった10数年前の天候に似ていると云う見方もあります。
  幼穂が出来はじめる7月以降の、好天を期待したいものです。
 
84才になるお祖母ちゃん自慢の畑。この辺りでは「あらし」と呼びます。 

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