平成11年 1999年 10月
 昨秋は収穫作業に手間取ったのと、乾燥機を入れるべく農作業小屋を改造し始めたのに時間を取られ、おまけに海外派遣農業研修生の渡航前講習を、欧州組と米国組の2つも担当したお陰で、全く農作業が出来ないどころか、収穫した籾でさえ春まで肥料の倉庫に積んだままでした。雪解けととに一気に作業が始まり、遅れ遅れで肥料の配達と自分の田の田植えの準備を、かなりイライラしながら行いました。幸い春先の天候が比較的良かったので、全部の田にケイコンに90種類の微生物を培義した堆肥と、骨粉や土造り用の培養資材を撒き、どうやら6月5日に田植えを完了しました。もっとも周りの農家は、気温が高くて苗の成育も良かったせいもあり、4月24・5日頃から植え始めて連休の前半で大方終了。私より10数倍の経営規模を持つ大農家にも追い越され、どうやら町内では最終に田植えを終えました。これもまた例年の事なのですが。
  昨年ぐらいから本格的に農薬の箱施用が始まりました。稲に必要と思われる殺虫剤や殺菌剤を、予め田植え前の苗箱に施用し稲に吸わせて、病気や害虫の被害を防ごうというものです。私はこの、病気や害虫が必す出るものと言う考え方には賛成出来ず、万が一そうなれば早めに治療すれば良いので、肥料商としても変わっていると思いますが、得意先の農家にも説明し、この商品は取り扱っておりません。5月に植えた稲の体に、8月まで効く農薬が吸収されて入っているなんて、おかしいと考えております。
  幸い今年は梅雨時に雨が少なくて蒸さず、お陰でイモチ病はほとんど出ず、5月後半のイネミズゾウムシも8月のウンカ・ヨコバイもほとんど被害無く、結果的には私の得意先の農家も含めて、農薬は除草剤以外は殆ど使わす、安全な米の生産が出来ました。
  梅雨に庭が湿気る事が無かったのと逆に、9月入って雨ばかりで農作業が出来ず、台風に伴う雨などは1時間に80mmと、田の畦を越すほども降ってクチャクチャでした。夜の気温が下がらす湿気が多かったのが原因かと思われますが、特にびわ湖の湖辺の田の米は完熟しないで、色艶も悪く軒並み2等か3等米だった様です。私は田植えが遅く従って稲の出穂も他所よりも半月位遅いので、夏の高温期を避けて米が登熟します。収穫作業も、秋晴れの続く9月27日から本格的に始めたのですが、ますます地球が温暖化する事を考えると、連休の田植えが今後の稲作の問題点になるかも知れません。

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