平成11年 1999年 11月
  昨年は減反面積が増え、このままでは必要量の生産が出来ないかもしれないと思って、97年産米で残っていた分を少し遅くまでお送りしましたが、今年は10月から新米に切り替え、残っていた98年産米は姉の嫁ぎ先の「萬木綱商店」へ全量売却しました。
  日本中で米が余り、減反政策が強化されてもまだ余り、経済原則に従って年々米の値段が下がって来ています。農薬の使用を出来るだけ控え、微生物を培養した堆肥をメーカーの指示の倍量も投入し、肥料商として考えられる限り上質の肥料を使い、細心の注意を払って乾燥・調整をしていますが、予想していたよりもご注文が少なく、米は余りました。
  米の品質に満足していただけないのかなとも思い、あるいは値段の問題なのだううかとも思いますが、理由をお教えいただけないままに少しずつ減って来ました。宅急便でお送りしている分については、荷造・送料分を少しですが当方で負担する形で、新米から値下げさせて頂きました。それでもまだ割高な様でしたらお教え下さい。何も解らないままにご注文が途絶えるのが、生産者としては一番辛い所ですので。
  百姓をしていて一番気になるのは新米の出来具合。味の方はいかがでしたか。今年は稲の穂が出来る前に施す肥料を、久し振りに「エスサン肥籾」という「味の素」が作っている肥料に替えました。この肥料を我が家で20数年前に販売を始めた時、問い屋さんの旅行で肥料屋仲間と、九州の大牟田工場の見学に行った事があります。
  30トン入りの3階建て位の大きさの醗酵タンクで、砂糖キビを原料に微生物で培養し、PHを調節してグルタミン酸リーダだけを「味の素」として抜き、残ったアミノ酸が一杯の廃液に、石灰をいれて固めたものが「エスサン肥料」になります。
  我が家で初めてこの肥料を使って米を作った時の、香り高い新米の味が忘れられず、今年は「明星」という肥料に替えて使って見ました。「明星」で作っていた昨年までと、私はそんなに違いは感じないのですが、肥料を施用したその田でアゲハチョウが、下の写真の様に肥料そのものを嘗めていたのが印象的でした。この肥料は非常に香ばしく甘い香りがして、いかにも美味しそうなのです。我が家では全く宣伝しなくても、知らない人がクチコミで買いに来て下さる珍しい肥料です。「エスサン肥料」に限らないのですが、何とかもつと旨い米を作りたいと考え、来年はまた別の有機質肥料を試してみようかと思案中。米ヌカが良いというので、田の秋起しの前に使ってみました。除草にも効果があるというのですが。

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