平成11年 1999年 8月
 7月下旬、九州や四国.中国から関東方面にまで被害をもたらした大雨も、幸いな事に近畿地方を避けてくれました。陽射しは強くとも、台風の余波で涼しい風が吹き渡る田面に次々と稲穂が出始め、我が家の遅植えの「ひとめぼれ」は、8月3〜5日に出穂期を迎えました。「コシヒカリ」の穂揃いは1週間遅れて10〜13日頃、我が家ではお盆に時期になります。稲の緑はこの出穂前の時期が一番美しいのです。夕日を受け半逆光にして見ると、風になびく稲の美しさは際立ちます。「命の緑」です。
 日中の強い陽射しを避け日が傾きかける頃から、田のあちこちで土手の草刈りが始まります。春先は月に1度夏場は2度位刈らないと、雑草が生い茂って手が付けられなくなります。めんどくさいと言えばそれまで。夕日を浴びながらそよ風に吹かれて、きれいに畦の草を刈って行くのは夏の風物詩。ほんの4〜5日しか持たないのですが、草を刈って穂を垂れてきた稲の株元が見えると、まるで襟足の椅麗な女性が浴衣を着てたたずんでいるようで、いよいよ秋の取り入れの近い事を告げてくれているかの様です。
 稲の穂には100〜130位の籾が付きます。そして、稲の花は数日を掛けて順々に開きます。籾の殻は晴天が続くと本当に椅麗にパカツと開いて、受粉が済むとオシベの先っぽだけが、閉じた籾殻からだらしなく垂れ下がります。所が梅雨明け以来、暑くて暑くてという日は少なく、とりわけ8月に入ってからは曇天と夕立続き。15日の墓参りの日には、とうとう大雨洪水警報まで出る始末。猛暑のはずの今年の夏は、全くの予想はずれでした。気象庁など当てにならんのは知っているとは言うものの、パラダタシイ限りです。
 稲の穂に中身が詰まって行くことを登熟と呼んでいますが、稲が登熟するのに最適な気温は25〜30度と言われており、必ずしも猛暑が良いとは言えません。しかし、雨続きで気温が高いと、病気や害虫の発生も気掛かりです。台風も秋の長雨も気になります。何とか普通の天候に戻って欲しいものです。
 稲は出穂から35日から45日掛けてじっくりと稔ってゆきます。9月中旬を過ぎると「ひとめぼれ」が収穫期に入ります。2年間従兄の倉庫に預けてあった大型の乾燥機を、ようやく引き取れる様に倉庫を改修しました。これで秋の農作業がうんと楽になり、乾燥ムラも無くなって、米の味も良くなるはすと期待しています。

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