今年の稲作 2005
 低温と日照不足で東北から北海道方面の稲は、秋田の後輩の言い方では悲惨な状況の様です。関西でも8月中旬まで梅雨の様な雨天曇天が続き、おまけに8日には台風10号まで襲来。春先から何度も本土を直撃する台風に、農作物は翻弄され続けました。
 連休の頃に田植えをしたコシヒカリ・キヌヒカリは、折悪しく琵琶湖の真上を通過したこの台風の風に揉まれ、出穂したばかりの稲穂の柔肌はお互いの籾殻でこすり合わされて、まるでヤスリをかけ合った様な状態。低温と日照不足で軟らかく育っていた稲に、増え始めていたイモチ病が一気に広がってしまいました。
 皆必死になって消毒をしていましたがその勢いは止まらず、出揃った稲穂に実の入ってない穂が目立ちます。収穫時期が近づくにつれてその姿は変わり果て、見るも無惨な様相になりました。
 梅雨明け宣言の出されなかった平成5年の、大凶作を思い出しています。8月は21日からようやく1ヶ月ぶりに草刈りを再開。日照不足は雑草の生育にも影響し、幸いなことに草丈は余り伸びていませんでした。この時点で「コシヒカリ」が出穂を始めており、「ヒトメボレ」と「コシイブキ」が少し走り穂を覗かせた状態。「コシヒカリ」「キヌヒカリ」の田植を5月中〜下旬にという滋賀県の方針がありましたが、その方針に沿って田植を遅らせた稲は、8月上旬次々に雨の中で出穂し花を咲かせました。
 私としても盆踊りの頃まで、1ヶ月も梅雨明けが遅れると思っていた訳では有りませんが、結果的に晴天に恵まれて「コシヒカリ」が出穂したのは、この辺りではおそらく私の田だけだった事を考えると、6月中旬の超遅植は今年は正解だったのかも知れません。
 「9月が今年は真夏になる」。そんな見出しの週刊誌の記事を見掛けました。平成6年の猛暑は「ダイポール現象」と呼ばれていましたが、空梅雨で夕立もなく本当にカラカラ天気が続きました。当時まだ町の消防団長をしていましたので、消火活動に走り回った記憶もあります。その時と同じ現象が秋に日本を襲うと言うのが内容でした。この夏異常に暑かったヨーロッパは、この現象に依るものだそうです。この記事、結果的には大筋で当たっていました。
 9月に入っての猛暑で、私の超遅植「コシヒカリ」はそれこそ大正解。先見の明が有ったわけでも何でも無いのですが、地球温暖化を見越しての対応を突き詰めて行った結果が、こういう形で報われる事になりました。遅く植えると生育期間が短くなり、収量的には決して多くは有りませんが、除草剤を1回使っただけで、殺菌剤も殺虫剤も全く使わず、無事収穫期を迎えたことに安堵しています。
 私どもの作るお米がどのようにして育っているのか、目で見て理解して頂けるようにホームページを作り、稲の生育状況の写真を載せております。機会が有ればご覧頂けると嬉しいのですが。何時までも安全で美味しいお米を食べて頂けるよう、息子に農作業のコツを教えながら仕事をしております。
 新米を詰め合わせてお送り致しました。ご賞味頂ければ幸いです。
                

inserted by FC2 system