今年の稲作-2009
  地球が温暖化し、稲作にも大きな影響が出る様になりました。兼業農家が多いせいもありますが、我が家の周辺の農家は殆どが、5月の連休前に田植えを始めます。そして連休が終わる頃にはもう、殆どの田に苗が植わり青々としているのですが、その頃から我が家の苗作りがスタートします。
 今年の田植えは6月7日に始めました。苗代地を植え終わったのは7月12日。育苗には1月余り掛かりますので、途中からは田植えと苗作りが同時進行でした。この苗箱に60g程度の種籾が蒔いてありますが、普通の農家の約半分でしょうか。
  出来るだけ大きく丈夫な苗を育てて、株と株の間隔もかなり広く取って、風通しを良くすると病気にも罹りにくいのですが、今年に限ってはこの超遅植えコシヒカリ作戦が、裏目に出てしまいました。
  5月の連休の頃に植わると、コシヒカリは7月下旬に穂を出します。例年だとこの時期は猛暑。過酷な環境の下に登熟すると、白っぽくなる乳白米が増えるなど、品質低下を起こします。この事態を少しでも避けるため、我が家は周辺農家より1月余り遅く田植えを始め、コシヒカリの出穂を8月中旬にまで遅らせています。

  その為には、7月末に穂肥を入れる必要があるのですが、今年はこの時期にとんでも無い大雨が降り続き、7月の低温傾向と相まって全く稲の葉色が褪めず、殆どの田で穂肥を入れられませんでした。かろうじて施用した田でも例年の半量。それでも部分的には倒伏したので、刈り取りには結構時間が掛かりました。
 東海地方に上陸し、日本列島を駆け抜けて大きな被害をもたらした台風18号を考えると、もし無理をして穂肥を入れていたら、強風と大雨でとんでも無い事態になっていたかも知れません。
  勿論、少量ですが穂肥を入れた田は何時にない豊作で、反収9俵半を越えました。逆に入れられなかった田では、株の張りは悪く背丈も低くて穂が小さく、当然の事ながら例年の6割程度の収量でした。
  収量を犠牲にしてでも、「質の良い美味しい米を穫りたい」と言うのが我が家の方針ですが、今年はそれが極端に現れて仕舞った年でした。

  「コシヒカリ」は新潟県で交配され、福井県で選抜育種されたので、「越の国に光輝く米」と言う意味で名付けられたのですが、昭和54年から作付け面積日本一となっている、おなじみのお米です。
  「こしいぶき」は同じ新潟県で、作付けがコシヒカリに偏りすぎる弊害を避けるため作出され、平成13年から一般に植えられている品種です。コシヒカリの資質を受け継ぎ、粘りは少し少ないようですが、噛んでいると甘味のある美味しいお米です。
  「日本晴」はコシヒカリに王座を譲るまで、昭和45年から作付け面積日本一だった品種です。粘りが弱く程よい硬さのため、寿司米として特に好まれています。日本穀物検定協会では食味を決める基準米として、滋賀県野洲市の日本晴を採用しています。我が家でも、ちょっと記憶にない程しばらく作っていなかったのですが、久しぶりに作ってみて非常に作りやすいのに、改めて感心しました。
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