西日本講習 その2(後半)へ

2004 西日本講習

由布岳とその下に湯布院の町並みを望む

  10月27日、平成16年度 国際農業者交流協会 派米農業研修西日本講習所での、第1次講習に参加しました。講習会場は大分県湯布院町にある「大分県立湯布院青年の家」。従来は全国4ケ所で行っていた渡航前講習を、この湯布院の大分講習を西日本講習とし、和歌山・長野の両講習を閉鎖して新たに流山に東日本講習を開設。都合2ケ所で米国派遣2年制農業研修生に対する講習が、今年度から始まりした。
  講習担当は従来通り、森永大直君が講習所長。講習助手に秋吉重宗君・田中晶子さん・谷口哉子さん。大分県のみならず近隣の県の大勢のOB達の協力を得て、従来にも増して熱い講習が繰り広げられています。

 湯布院青年の家は、大分道・湯布院インターから写した上の写真では、町並みとは逆の手前側になります。山並みハイウエイから写した下の写真では、位置的には湯布院の町並みの右手奥の山の中腹にあり、画面中央・手前側の山の稜線ギリギリに見えているのですが、グラウンド越しに遠く由布岳を望み、盆地上に開ける湯布院の町並みが手に取る様に見える、素晴らしい景色の高台に有ります。此処の住所が「湯無田」と言うくらいで、残念ながらお風呂は温泉では有りませんでしたが、建物も新しく清潔で体育館も大きく、非常に快適な環境で講習が行われています。
由布岳は写真右手にあります




  秋吉講習助手の司会で開講式が始まりました。国歌斉唱に引き続いて湯布院青年の家の所長にご挨拶を頂き、森永大直講習所長の訓辞が有り、青年の家の担当者からオリエンテーションを受けて終了。

  教室に移って更に詳しく、講習の日課や講習に対する心構えの説明がされました。


  初日の夕食風景。25年間、和歌山県の青年の家で講習を担当してきましたが、全てが余りにも違うので驚きました。暖かい物は暖かく食べられる様に配慮されているし、まあ当たり前の事ですが嬉しかったですね。何しろテーブルクロスが掛かっているなんて!和歌山も長野も流山にも、これは無かったですね。ご飯は保温されて出されるし、朝は自分達でやりますが夕食はそれぞれに盛りつけて手渡されるし、料理は勿論食器まで美味しそうに食べられる様な配慮が有って、とても嬉しかったですね。

  研修生の宿舎は2段ベッド。毛布に掛け布団が有るんです。

朝トレは暗闇の中で

  早朝5時半には朝トレが始まり、23人の研修生の先頭を、体を張って走る森永講習所長の熱のこもった声が、体育館やグラウンドに響き渡ります。日が経つに連れて研修生の声も大きくなり、気合いが乗って来ましたがそれでも、まだまだ森永所長1人の声の方が大きいのです。






  体育館でもグラウンドでも、トレーニングが一段落すると大の字になって寝っ転がります。「空を見てみろ、この空はアメリカまで続いているんぞ」。こんなセリフが森永所長の口から出ると、研修生の心の中に染み通って行くようです。

トレーニングの締めは、大分講習名物の「ワッショイ」。

  何度も上陸した台風で状態は決して良く有りませんが、助手の田中・谷口両OBの描いた1周250mのトラックを使って、真っ暗なグラウンドでトレーニングをする日も有ります。


見晴らし最高の食堂

湯布院は盆地なので朝はキリに包まれるとか

  高台にあり三方が開放的な大きな窓になった、まるでリゾートホテルのレストランの様な食堂でした。
  上の写真は、右の写真では左端の窓から見える景色です。
  窓の外に広がる由布岳。湯布院の町は雲海の様な朝霧に包まれ、幻想的な風景を眼前にして朝の食事が始まります。左手の高原には東急湯布高原別荘地が開けており、眺望は抜群でした。

  朝食に卵が出る日は、「生卵」か「ゆで卵」かどちらか好きな方が選べます。

この日は新米の「こしいぶき」でした

清水君がお代わりをしに行ったら空っぽでした

献立は毎日変わります。朝食はこんな風でした。
卵かけご飯を二杯目にという作戦が裏目に

これは昼食です。

夜の食事は品数も増えて、一段と豪華になります。

英会話は手段 出来て当たり前

  英語の授業が本格的に始まりました。森永所長の要請で私も発音の仕方を中心に、ブルーブックを使っての講義に加わりました。「発音は口の周りの筋肉トレーニング」と言い続け、どうすれば日本語には無い音の発音が正確に出来るかを説明しましたが、定着するには時間が掛かります。その発音をするための筋肉を鍛えるのに時間が掛かるのは、スポーツの上達が一朝一夕には出来ないのと同じなのです。
  頭で理解した事は時間が経てば忘れますが、筋肉が覚えた発音の仕方は永く財産となります。



繰り返し繰り返し、2人1組になっての会話練習が続きます。

  30日午後から、熊本県国際農業者交流協会会長の出田さんが、同じくOBの五嶋君と来訪。研修生を激励して頂きました。出田さんは米2研修の2回生。つまり私(平井)と同期で、昭和44年の第5回生から昭和49年の第10回生まで、九州講習所長もされました。滞米中は、短期実習でオロンドのオービルフルーツに配属された私達4人のグループリーダーが、ワナチに配属になった出田さん。オーリ ンのササキファームに配属された長期実習でも、バックレイナーサリーの出田さんがリーダーでした。



  「名選手必ずしも名コーチならず。」 言い古された言葉ですが、講習担当者にもこれは当てはまります。自分では何気なく出来る事も、さて研修生に教えるとなるとこれは別の話。「コーヒーを、音を立てずに飲める様になる」ことは、和歌山講習では研修生の課題の一つでした。どうしても出来ない者には説明をして、どうすればコーヒーをすすらずに口に入れ、飲み込む時には喉を「ゴクリ」と音をさせず、静かにコーヒーが飲み込める様に指導出来るか。一体飲み込むときに喉が鳴るのは何故なのか。これが講習担当者に科せられた課題。
  西日本講習では何度も試して貰う時間がないので、講習担当者には解答を言っておいたのですが…。写真を撮ったこの日、残念ながら助手の田中さんは一時帰郷しておりませんでした。


インタビュー

  31日午後、別府市にある立命館アジア太平洋大学の学生4人(インド人1名・パプアニューギニア人3名)を、27回生の鈴木智久OBが案内して来てくれました。研修生と8分間の1対1でのインタビューの時間。一巡すると研修生は相手を代えて、再三再四会話をします。4人のアジア太平大学の学生に対して8分ずつ合計32分間。中には結婚もし本国では教師をしていたと言う人もあって、学生達も非常に熱心に、研修生から日本の事を色々聞き出すのを楽しんでくれた様です。
 このアジア太平洋大学には、75ヶ国・地域からの留学生、1,800人が在学しており、4何前に開学したとのこと。学生達の協力で会話の難しさと話が出来る楽しさを感じ、研修生が英会話の習得に励んでくれるきっかけになると良いのですが。







  昼食を一緒に食べてからインタビューが始まり、無事済んで夕食が始まりました。今日のデザートは和歌山の藤井栄一OBが送ってくれた富有柿。夏の暑さで柿の実も「軟果」が多いそうです。しかしながら味は抜群。食事の前に持ち込んで頼んでみたのですが、軟らかいからと説明すると「早いほうが良いでしょう」と、気安く直ぐに剥いて出して頂きました。


  11月1日は農家実習。研修生は久しぶりに下界へ。朝食抜きで迎えのOBと出掛ける者、朝食をOBと一緒に食べてから出発する者と色々でしたが、私は2人の研修生を乗せて宇佐市の5回生、原正夫OB宅に向かいました。原君とは8回生の講習で、今は鹿児島に帰っておられる松下隆映OBが講習所長の時、一緒に講習助手を勤めた仲なのです。

ユニオン ファーム

  午前中は雨の予報で、午後から稲刈りをする予定だったからと言って、久しぶりに会ったので色々と話し込みました。原OBの農場:ユニオン ファームは、米よりもジャガイモや牧草・藁の方が主力の様です。昼前には研修生の為に少しだけ籾摺りをさせてくれました。


学校給食用の春に収穫したジャガイモ

ジョンディアは110HP

牧草の収穫用・ロールベイラー

屋根の上の部屋に籾殻が入る様になっていました


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